2025年7月5日
ログハウス講座 vol.53(特別寄り道編)
ログハウスと時間-経年変化を楽しむ暮らし
ログハウスは、完成したその瞬間から時を刻み始めます。
この家の最大の魅力は「時間とともに美しくなる」こと。
今回は仕上げ工事編を少しお休みして、
ログハウスとともに歳を重ねる暮らしについて
特別寄り道編としてお届けします。
木の家は、生きている
ログハウスは、自然そのもの。
使われる木材は「死んだ素材」ではなく、
呼吸し続ける生きた建材です。
湿気を吸って吐き、季節と共に収縮し、
やがて日光に焼かれて深みのある色へと変化します。
新築当初の明るくみずみずしい表情から、
年月と共に落ち着いた飴色へ。
この変化は劣化ではなく、
味わいと深みを加えていく成熟の過程です。
経年変化を楽しむという発想
日本では「古びたら価値が下がる」という発想が根強くあります。
しかし、ログハウスはその常識をくつがえします。
欧米では、パティナ(patina)と呼ばれる経年による
艶や質感が“価値ある風格”として愛され、
むしろ新築時よりも高く評価されることすらあります。
ログハウスにおいても、「美しさ=新品」ではなく、
自然の風合いをまとう“歳月の証”が美しさなのです。
ログと共に暮らす、ということ
ログ材は、住む人の暮らしと呼吸を共にします。
笑い声が響いたリビングの柱には、
年月の跡が刻まれ、家族と一緒に“思い出”を蓄えていきます。
時にログに小さなクラックが生じても、
それは木が環境に馴染んでいくプロセスの一部。
シミや焼けも「この家と生きてきた証」として、
むしろ愛着が深まっていくものです。
未来へつなぐ木の家
ログハウスは、単なる“家”ではありません。
人生を重ね、記憶を育むパートナーのような存在です。
100年後、そこに住む誰かが
「この家には、ぬくもりがある」と感じてくれたなら、
それこそがログハウスの本当の価値ではないでしょうか。
今回は少し寄り道をしましたが…
仕上げ工事編から少し脱線しましたが、
ログハウスという住まいの本質を考える上で、
欠かせない話題です。
でも、また、寄り道しそうです。
どうぞお楽しみに!
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間をダイジェストでまとめました。
ぜひご覧ください。