2025年5月17日
床組みの構造と断熱-快適なログライフを足元から支える技術とは?
外観ばかりが注目されがちなログハウスですが、
実際に住んでみると、床から伝わる冷気や湿気、足元の音の響き、
そういった"日常の質感"こそが暮らしの快適さを大きく左右します。
ログハウスは自然素材を活かした建築ですが、
だからこそ断熱や構造にきちんと配慮しなければ、
四季のある日本では住みにくい空間にもなりかねません。
ログハウス講座vol.42では、木の魅力を活かしながらも、
しっかりと快適さを確保するための
床組みの工夫と断熱対策を、丁寧に解説していきます。
木組みの基礎「根太」「大引き」「土台」
ログハウスの床組みは、土台→大引き→根太という順に構成されます。
これは一般的な在来木造住宅と同じですが、ログハウスではこの下地に対しても
無垢材の床板を張るケースが多いため、木の収縮や通気性への配慮が重要です。
土台(どだい):基礎と構造体をつなぐ水平材。耐久性の高いヒノキや加圧注入材を使用。
大引き(おおびき):土台に直交して配置し、床全体を支える。
根太(ねだ):大引きと直交し、床板を支える細長い部材。
床下断熱 vs 床上断熱
床の断熱方法には主に2種類あります。
床下断熱(根太間断熱)
根太と根太の間に断熱材(グラスウールやスタイロフォームなど)を敷き詰める。
比較的施工が簡単で、コストを抑えられる。
気密処理が甘いと冷気が床上に伝わりやすい。
床上断熱(基礎断熱と併用されるケースあり)
土間上に厚みのある断熱材と合板フロアを設置。
高気密・高断熱住宅やベタ基礎と相性が良い。
室温が安定しやすく、冬も足元が冷えにくい。
ログハウスに合う断熱材とは?
ログハウスは通気性と調湿性が高い構造です。
そのため断熱材には以下のような特性が求められます:
調湿性があるもの(セルロースファイバーなど)
無害で自然素材系(羊毛断熱、ウッドファイバー)
施工性が高いもの(スタイロフォーム、フェノールフォーム)
「自然と共に暮らす家」には、自然素材の断熱材がよく選ばれています。
断熱だけじゃない!床下は“メンテナンス空間”でもある
床下には配管や配線が通るため、点検口の設置が非常に大切です。
また、ログハウスは湿気に注意が必要なので、床下の換気や通風設計も不可欠です。
足元から整えるログライフの快適性
床組みと断熱の精度は、体感温度と住まいの寿命に直結します。
快適なログハウスづくりは、「足元の構造と断熱」から始まっているのです。
※令和6年度埼玉県林業技術者育成研修40日間をダイジェストでまとめました。
ぜひご覧ください。